外向的な人と内向的な人、どちらが成功しやすいのか?

外向性―内向性は、心理学では最も確立されている概念の一つですが、その詳細についてはいまだに議論が続いているそうです。

内向的だからといってコミュニケーションが苦手なわけでは必ずしもなく、外向的だからといって人間が薄っぺらいわけでもありません。

人びとの三分の一が、筋金入りの内向的か外向的かのどちらかであり、残りの三分の二は、どちらかに偏っているものの両方の特性を兼ねそろえています。

一人でいる時間が耐えられないという人は「外向的」で、人付き合いが苦手で一人が落ち着くという人は「内向的」と言っていいでしょう。

今回は、外向的な性質と、内向的な性質の、どちらが成功にとって有利なのかという話です。

外向的な人のほうが収入と幸福度が高い

まず、平均して、外向的な人のほうが収入が高い傾向にあるようです。

スタンフォード大学がビジネススクールの卒業生を20年間調査したところ、ビジネスで成功した人のほとんどが外向的な性質の人でした。

子どもの頃まで遡った調査もあり、児童期や学生時代に外向的だった人のほうが収入は高い傾向にあります。収入だけでなく、企業で昇進する回数も外向性と正の相関関係にあるようです。

外向的な人はリーダーになりやすく、自分のことを「極めて外向的」だと思っている一般人が16%なのに対して、企業の最高幹部は60%が自分のことを外向的だと考えています。

外向的な人の一番の強みは、さまざまな人とつながる「ネットワーク」です。顔の広さはビジネスでの成功にあからさまに結びつきます。

大きなネットワークは価値の源泉であり、なんと裏稼業の仕事であれ、人とのつながりがすばらしい効果を発揮します。

素朴に考えれば、麻薬売買のような犯罪行為は、こっそり小規模でやるのが安全なように思えます。しかし、サイモン・フレーザー大学による調査によると、さまざまな売人とネットワークを形成している売人のほうが、収入が高いのはもちろんのこと投獄を逃れる可能性も高いという結果が示されました。知り合いが多いほうが、信頼と情報を得て危機を逃れることができるのです。

さらに、外向的な人は内向的な人よりも幸せである傾向があります。

「幸せ」というのも曖昧な概念ではあるのですが、「外向性」と「主観的幸福感(Subjective Well-Being:SWB)」が関連していることは、SWB関連の文献で繰り返し強固に裏づけられてきた事実だそうです。外向的な人はたとえ一人でいるときでさえ、内向的な人よりも幸福感が高い傾向にあります。

つまり、外向的な人は内向的な人よりもたくさんのお金を稼ぎ、出世しやすく、安全で、幸福感も高いということです。

トッププレイヤーは内向的な人が多い

先ほどまでの説明だと、できるだけ外向的な人間になったほうが良いように思うかもしれませんが、外向性には「本当に重要なことに時間を使いにくい」というデメリットもあります。

外向性は、個人的な熟達度と負の相関があります。何かに習熟するためには膨大なトレーニングの時間が必要ですが、友人や知り合いが多くいることでその時間がなくなってしまいます。

学者、音楽家、チェスプレイヤー、投資家、クリエイターなどなどの職種で、超一流と言われる人は、じつは内向的な人の比率が圧倒的に高いのです。

プロのスポーツ選手たちもパーティなどを好む外向的なイメージがありますが、作家でオリンピックの金メダリストであるデビット・ヘメリーによると、アスリートですらトップ層になるとほとんどが自分のことを内向的だと考えています。

何より顕著な特徴は、トップ・アスリートの大部分、じつに89%が自分のことを内向的だと思っている点だ――自分は外向的だと感じている者はわずか6%に過ぎず、残りの5%は自分は”中間”だと思っていた

当然ですが、トップアスリートを偉大にするのは、仲間とパーティーをしたり観客の喝采を浴びる華々しい時間ではなく、一人で黙々と積み重ねる努力の量です。

内向的な人間のほうが、外向的な人間よりも一つのことに熱中して努力できる傾向にあります。

あくまで傾向としてですが、外向性は平均的な人を成功させ幸福にしやすく、内向性は突出した人物を生み出しやすいということです。

内向的だからといってリーダーになれないわけではない

大半の人たちは、リーダーは外向的なほうがふさわしいと思っているし、実際にリーダーとされるポジションには外向的な人が多いです。

集団の中で最初に口を開き、積極的に話すという外向的な行動をとるだけで、リーダーとして見られるという調査結果もあります。リーダーになるためには、有能であるかどうかよりも、まず外向的に見られるかどうかのほうが重要なのです。

しかし、ペンシルバニア大学のアダム・グラント教授がリーダーシップについて研究したとき、興味深い傾向を発見したそうです。

外向的な人と内向的な人のどちらがすぐれたリーダーになるかは、じつは彼らが統率する人々のタイプによって決まります。従業員が受け身のルーティンワークをこなすような業務の場合、社交的でエネルギッシュな外向型人間がリーダーのほうが結果が出やすくなります。一方で、目的意識のある自発的な人たちを率いる場合は、内向的なリーダーのほうが望ましいようです。

外向的な人は、最初は主導権を握りやすいのですが、のちに傾聴する能力の不足が露呈するなど、支持が長続きしない傾向があります。能力を持った人たちが集まった集団ほど、内向性と結びついた能力を評価できる内向的なリーダーのほうが成果をあげやすくなります。

外向的な人のほうが「宣伝能力」が高いぶん、外向性は過剰に評価されている側面もあるのです。リーダーシップに関しても、実は内向型人間のほうがうまくいく場合も少なくありません。

お互いを馬鹿にせず協力し合うことが大事

外向的な人、内向的な人、世界にはどちらの人材も必要です。そして、ほとんどの人間は両方の特性を兼ね備えているものです。自分は内向型だから友達を作るのは諦めるとか、外向型だから一つのことに突出できない、といったような自己認識を持つ必要はありません。

ネットワークを広げるのも、何かに真剣に打ち込むのも、どちらも重要な能力であり、意識して伸ばしていこうとすることが大切です。

ただ、極端に外向的な人や、極端に内向的な人もなかにはいます。

片時も人がそばにいないと寂しくて仕方がないという人は、仲間のネットワークを広げていくと仕事で成果を出しやすく、幸せになりやすいでしょう。

他人と共に過ごす時間をなるべく避けたいという人は、全力で情熱を注げる対象を見つけるのがいいかもしれません。

いずれにしろ、大切なのはお互いの性質と能力を認めて協力し合うことです。

外向的な人は、自分の主張や能力をあからさまにアピールしない内向的な人の意見をなるべく聴こうとする姿勢が必要です。

内向的な人は、外向的な人に対して「能力がないのに……」などと思わず、明るくて顔が広いというだけでも、それが自分には無い重要な能力であることを認めましょう。

まとめ

  • 外向的な人は平均的に成功しやすく幸せになりやすい
  • トッププレイヤーは内向的な人が多い
  • 両方の性質を持つ人がほとんどなのであまり気にする必要はない
  • お互いに相手の特性を尊重し協力し合うことが大事

(参考:エリック・バーカー(著)、橘玲(監訳)、竹中てる実(訳)『残酷すぎる成功法則』第4章)

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