10分だけ我慢してみる「10分ルール」を試してみよう

ダイエットや禁煙など、何かを我慢したい人におすすめの方法があります。

それは、10分だけ我慢してみる「10分ルール」です。

例えば、「どうしてもタバコを吸いたい!」と思ってしまったときは、「10分後に吸ってもいいことにする」のです。

永遠に我慢しなくても、10分待てばやってもいいのです。

この方法で、やめたいことを少しずつやめていくことができます。

しかし、なぜ「10分ルール」が効果的なのでしょうか?

欲しい物のために10分待つことくらい、たいしたことではないように思えますが、神経学者たちの発見によると、たったそれだけのことで報酬に対する脳の受けとめ方が大きく変わるのです。

人間よりチンパンジーのほうが忍耐力が高い?

人間とチンパンジーの忍耐力を比較する実験で、チンパンジーが大勝するという衝撃的な結果が出たことがあります。

まず、魅力的なおやつ(チンパンジーにはブドウ、人間にはチョコレートなど)を用意します。

おやつを2つ貰うのと6つ貰うのとで、どちらがいいか最初に質問します。これには、人間もチンパンジーも6つ貰うほうがいいと答えました。

そして、今すぐに2つ貰うか、2分後に6つ貰うか選択させるのが、この実験の主旨です。

チンパンジーは、おやつを6つ貰うために、なんと72%が待つことができました。一方で、人間はたったの19%しか待つことができませんでした。

忍耐力でチンパンジーが人間に圧勝したことになります。人間は目先の欲望に負け、最初に頭で考えていたのと別の選択をしたのに対して、チンパンジーは初志を貫徹しました。

「目の前の食べ物がすぐに欲しい」のは、チンパンジーも人間も同じです。

チンパンジーの脳の大きさは人間の三分の一しかありませんが、彼らは「2つより6つのほうがいい」という自分の希望を明確にした上で、それに従って行動することができました。目先の食べ物に対する衝動に負けなかったのです。

一方で、人間はその知能の高さゆえに、衝動に負けてしまうことに理屈をつけて正当化してしまいます。最初は6つ貰えるほうがいいと思っていたにもかかわらず、目の前の2つがすぐに手に入るとなると、「よく考えたら2つのほうがダイエットになる」とか「2分後にもらえる4つよりも時間のほうが貴重」などと理由をつけて、目先の欲望を優先してしまいました。

本来、衝動を抑えられる人間の能力は、他の生物とは比類にならないほど優れています。おそらく報酬がもっと深刻に人生に関わってくるものであれば、人間はもう少し理性を発揮できたでしょう。

しかし、目の前の食べ物のことになると、人間はチンパンジーよりも欲求に弱いのです。

理性は「短期的な報酬」に負けてしまう

「短期的な報酬」に対する人間の弱さは、しばしばチンパンジー以下になります。理性があるから衝動に耐えられるのではなく、理性が衝動を後押しするように働くのです。

「今回は食べて明日から気持ちを切り替えてちゃんとやろう」とか「冴えない頭で頑張っても成果は上がらないだろうし今からやるのはキリが悪い」とか、わたしたちは、やりたいことをすぐにやったり、やりたくないことを先延ばしにすることを、自分の中で理屈をつけて正当化してしまうのです。

理性があるから我慢できることもあるのですが、「短期的な報酬」に対する衝動に理性が協力してしまうこともあります。

じつは、人間の脳は「長期的な報酬」を望んでいません。

脳の報酬システムは、将来の報酬に反応するようには進化しませんでした。大昔から最近まで必要だったのは、報酬が手に入りそうなときはすぐに飛びつくシステムであり、人間は美味しい食べ物にはとても敏感です。

しかし、長期的な努力を続けて手に入る大学の学位や理想の肉体などは、報酬システムには組み込まれていません。

誰しも、頭の中では「長期的な報酬」を望んでいます。しかし、現実的には「短期的な報酬」への衝動に負けてしまい、頭もその衝動を補強するように働きかけるのです。

よって、「長期的な報酬」へのモチベーションで「短期的な報酬」を我慢するという、目標達成にとって不可欠とも言える行為は、人間にとって非常に難しいことだと言えます。

そんなときこそ「10分ルール」が有効なのです。

「10分ルール」が効果的な理由

「短期的な報酬」に対して、理性的に我慢しようとしても、理性がそれを手に入れるべき理由を考え出してしまうので、合理的な判断で我慢をするというのは意外に難しいという話をこれまでしてきました。

それを解決するための方法が「10分ルール」です。

欲望自体を抑え込むのではなく、欲望を10分先延ばしすることだけに自制心のすべてを注ぎ込みましょう。

10分待つことによって、「短期的な報酬(タバコ)」が「長期的な報酬(10分後のタバコ)」に変わります。

例えば、禁煙をしている人にとって

「短期的な報酬(タバコ)」VS「長期的な報酬(禁煙成功)」

のどちらかを選ぶことになりますが、これだとなかなか勝ち目はありません。

しかし、「タバコを吸いたいと思ったら10分待ってから」というルールが当たり前になると

「長期的な報酬(10分後のタバコ)」VS「長期的な報酬(禁煙成功)」

と、タバコを吸うことと禁煙に成功することが同じ土俵に上がり、禁煙する方を選びやすくなるのです。

とにかく「10分待つ」ことを絶対に厳守します。もちろん、10分経った後はタバコを吸っても構いません。

「ダメ」とか「減らせ」という否定的な状況をつきつけられるより、「10分後ならいいよ」と自分に言い聞かせることで、ストレスやパニックがずっと和らぎます。

このルールの優れたところはいくつもあり、1か0か(吸うか吸わないか)ではなく、少しずつ改善していけるのです。

「10分」に慣れて進歩を感じなくなってきたら、「20分」「30分」と待ち時間を増やせば量を段々と減らしていくことができます。

「意志の力」は筋肉に似ているので、「10分ルール」を守り続けることによって自制心が強くなり、仕事などでもポジティブな効果が現れやすいです。

何かをやめたいと思っているけどなかなか成功しない人は、「10分ルール」を試してみてはどうでしょうか?

タバコやお酒や糖分など、依存性のあるものには特に有効です。

まとめ

  • 何かを我慢したいときは10分待ってからやる「10分ルール」を守る
  • 人間は「短期的な報酬」への衝動を理性で正当化してしまえるので、ときにチンパンジーよりも忍耐力を発揮できない
  • そのため、「長期的な報酬」のために「短期的な報酬」を我慢するのは難しい
  • 「10分ルール」は「短期的な報酬」を「長期的な報酬」に変えるので効果的
  • 「10分待つ」を守ることによって、無理なく確実に自制心を強くしていくことができる

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