「条件型計画」行動を開始しやすくする上手な計画の立て方を解説

計画を立ててそれを行動に移そうとするときに、ものすごく効果を発揮する方法があります。

それは、「条件型計画」と、社会心理学者ハイディ・グラント・ハルバーソンが呼んでいるものです。

「もし○○であれば、○○をする」というシンプルな計画を立てるだけでも、行動を起こせる確率がグッと上がります。

上手な計画の立て方とは

あまり効果の期待できない計画の立て方は

  • 食べる量を減らす
  • 運動する量を増やす

といった曖昧なものです。

「計画を立てる」という行為は、目的をはっきりさせ、それを実際に行いやすくしてくれるものでなければ意味がありません。

計画は、「何を」「いつ」「どこで」実行するのかを具体的に示しながらも、なるべくシンプルであるものが望ましいのです。

先ほどの目標を改善するなら

  • 食べる量を減らす→「食事量を1日1500キロカロリー以下に抑える」
  • 運動する量を増やす→「毎週、月、水、金曜日に、出勤前にスポーツクラブで1時間運動をする」

となります。

さらに、「もし○○であれば、○○をする」という形の「条件型計画」はさらに効果が高まります。

  • 1日のうちに1500キロカロリー摂取したら、それ以降は食べ物を口にしない
  • 月、水、金曜日の朝になったら、○時に起きて、仕事前にスポーツクラブに行く

といったようにするのです。

この「条件型計画」の有用性は、さまざまな実験で確認されています。

ペーター・ゴルヴィツァーの実験

これは社会心理学者ペーター・ゴルヴィツァーが行った実験です。

クリスマス休暇に入る前の学生を呼び止め、調査への協力を頼みました。承諾してくれた学生に、クリスマス休暇をどう過ごしたかについての詳しいエッセイを、帰省先で書いて送ってもらうよう依頼します。

学生の半分には、ただエッセイを書くことを頼んだだけです。

もう半分の学生には、「エッセイを書く予定の場所と時間」を具体的に決めてもらい、その場でそれを紙に書いてもらいました。

ただ頼んだだけの学生がわずか32%しかエッセイを送ってこなかったのに対して、「時間と場所」というシンプルな計画を作成した学生は71%もエッセイを送ってきました。

その場で「時間と場所」を書いてもらうという、たったそれだけの計画を立てることによって、2倍以上も成功率が上がったのです。

このように、とてもシンプルな計画が、驚くべき効果を発揮します。

無意識にアプローチして「即席の習慣」をつくる

ハイディ・グラント・ハルバーソンは、「条件型計画」こそが、成功の確率を上げるためにできる、最も効果的な方法だと主張します。

「もし○○であれば、○○をする」という「条件型計画」によって、状況や手がかり(もし○○であれば)と、それに続く行動(○○をする)が脳の中で強く結びつき、実際の行動を開始しやすくなります。

あらかじめ脳にその指令を出しておくという無意識へのアプローチです。

「無意識」というと何かうさんくさく聴こえるかもしれませんが、「習慣」や「熟練した技能」なども無意識のたまものです。

ペーター・ゴルヴィツァーは「条件型計画」を、「即席の習慣」をつくるものだと述べています。「習慣」ができれば、自制心を必要とする行動も当たり前のようにこなせるようになるのです。

「条件型計画」は、無意識にアプローチして「即席の習慣」を形成することであり、もちろん良い習慣を作り上げるための最初のステップとしても有効です。

明日は絶対に寝坊できないといった状況で、「目覚ましが鳴ったらすぐに起きて準備する」ことを、どこかで頭に置きながら眠ったことはありませんか?

そうすることで実際にちゃんと起きやすくなります。

あらかじめ「○○したら○○する」を一度頭で考えておくと、実際にそのときが来たら、驚くほど行動が楽でスムーズになるのです。

漠然と「○○をやる」と考えてもあまり意味はなく、具体的な時間や場所を指定してこそ効果が見込めます。

「完了」ではなく「開始」のために計画を立てる

計画は、行動する機会を逃さないようにするために使うと、最も効果を発揮します。行動を「開始」するための計画を立てるのです。

人間はやり始めさえすれば自然とモチベーションが上昇していくものなので、行動の「開始」に労力を注いだほうが結果が出やすくなります。

逆に

  • 今書いているレポートを○○時までに終わらせる
  • ○週間以内に○キロ痩せる

など、「完了」を計画したものは、単なる「甘すぎる想定」であったり、「目標であって計画とは言えない」ものになりがちです。

ルーティンの決まった予測可能な仕事を集団でやる場合は、「完了」を前提とした計画を立てることもありえます。

しかし、個人が自発的に取り組む課題の多くは、どれくらいの時間がかかるか実際にやってみないとわからないことが多く、想定していた時間内に終わる可能性のほうがむしろ低いくらいです。そのようなものの「完了」に対して計画を立てるのは難しいでしょう。

計画を立てるのであれば「完了」ではなく「開始」にアプローチしたほうがよく、「条件型計画」は「開始」をスムーズにするための方法です。

「条件型計画」の有効な使い方

時間や場所を具体的に指定し、複雑すぎずなるべくシンプルな指令にします。

「もし○○であれば、○○をする」という形式にして、行動の「開始」をスムーズに行えるような計画を立てます。

例えば、仕事の後に勉強をしてスキルアップを図りたいと思っているとします。しかし、仕事終わりには疲れているし、ついついだらけたり、スマホなどに手を伸ばしてしまいがちです。

このような場合、「家に着いて、手を洗って服を着替えたら、すぐに机に座って参考書とノートを広げる」という「条件型計画」を立て、それを紙かアプリにメモしておきましょう。

そして、職場を出て電車や車に乗ったり歩いている帰路の途中、帰ったら勉強するという「条件型計画」のことを、頭の隅に置いておきましょう。そうすることで、ついサボってしまわず、すぐに行動に移すことができます。

1日のうちにやるべきことを、「条件型計画」の形で書き出して意識しておくだけで、だらけたりサボったりしてしまう時間が大幅に減ります。

わたしは、条件型計画の作成方法と作成すべき理由を書いた小冊子をつくり、ダイエットやモチベーション、自己啓発をテーマにした書籍やDVDすべてに付録としてつけたいと考えることがあります。世の中の医師や教師、政治家全員に配りたいと思うくらいです。ダイエットでも自分の成長でも、達成したいことの難易度を問わず、シンプルな計画を立てて取り組むことで、成功の可能性は飛躍的に高まるのです。

とハイディ・グラント・ハルバーソンは著書で述べています。

実際にやってみると、驚くほど効果があるので、ぜひ試してみてください。

まとめ

  • 実行しやすい計画は、具体的な時間と場所を指定した、シンプルなものが望ましい
  • 「完了」を計画するのは難しいので、行動の「開始」を計画したほうがよい
  • 「もし○○であれば、○○をする」という「条件型計画」を立てることで、実際に行動を「開始」しやすくなる

(参考:ハイディ・グラント・ハルバーソン(著)、児島修(訳)『やってのける』第9章)

参考リンク:「条件型計画」を立てるとめっちゃ捗る!

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