ストレスを避けようとむしろ危険!ストレスは肯定的に考えるべき

心理学の数々の実験で明らかになっている理由は、「ストレスをなるべく避けたほうがいいと思っている」と、人生を不幸にしてしまいやすくなるということです。

過度なストレスを受け続けるような環境からは逃げ出すべきです。

しかし、「ストレス反応」自体は、身体を蝕むものではなく、困難な状況に対応するための生理反応です。ストレスはわたしたちに力を貸してくれるのです。

「ストレスは有害なのでとにかく受けないほうがいい」と思い込んでいると、ストレスの恩恵を授かることができなくなってしまいます。

「ストレスは健康に悪い」と思っていた人だけ死亡率が増加した

これは、『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』の著者ケリー・マクゴニガルが、ストレスについて考え直すキッカケとなった研究結果です。

1998年に、アメリカで3万人の参加者の成人を対象に行われた調査で

  • 「この1年間にどれくらいのストレスを感じましたか?」
  • 「ストレスは健康に悪いと思いますか?」

というふたつの質問が行われました。

その後の調査で、強度のストレスがある場合には、死亡リスクが43%も高まっていたことがわかりました。

しかし、死亡リスクが高まっていたのは「ストレスは健康に悪い」と考えていた人たちだけで、健康に悪いとは思っていなかった人たちには死亡リスクの上昇は見られませんでした。

それどころか、「多くのストレスを受けながらストレスを健康に悪いと思っていない」グループは、参加者の中で最も死亡リスクが低い人たちだったのです。

つまり、「ストレスは健康に悪い」のではなく、「ストレスは健康に悪いと考えることが健康に悪い」のです。

ストレスに対してどのような反応をするかは自分で選べる

ストレスには良い影響と悪い影響があります。

「考え方」によって、ストレスが力を貸してくれるか、ストレスの悪い側面を受け取ってしまうかが変わります。

これについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。

「考え方」が人生を左右する?マインドセット効果の重要性

ストレスを減らしたり、無くしたりできない状況は、人生の中で必ずやってきます。しかし、ストレスに対してどう反応するかは自分で選べます。

「ストレスは有害なので避けよう」と考えることは、ストレスの良い側面を受け取り損ね、悪い側面の影響を受けてしまいます。

なぜストレスをなるべく避けるべきものと多くの人が考えるようになったかは、以下の記事を参考にしてください。

「ストレス」についての誤解。ストレスが身体に悪いとは限らない

「ストレス・パラドクス」ストレス度指数の高い国ほど繁栄している

研究者たちは、各国のストレス度指数を算出しているのですが、国ごとにかなりの差異が見られるそうです。

驚くべきことに、ストレス度指数の高い国(調査で「大きなストレスを感じた」と答えた人びとの割合が高かった国)ほど、平均寿命が長く、GDPも高かったのです。

これは、ストレスフルな生活を送っているからこそ国が繁栄している、ということではありません。国民の幸福度や人生に対する満足度もまた、ストレス度指数と正比例します。

一方で、不幸な人びとには「ストレスの明らかな欠如」が見られるそうです。

世界各国の人びとが「ストレスが多い」と言うとき、その内容は、客観的な社会的悪条件とは一致していません。

「ストレスのない生活が幸せとは言えない」のです。

ストレスを受けるほど幸福度が高い理由

ある「生きがい」についての研究によると、人生で強いストレスを感じた経験が多かった人ほど、「生きがいのある人生を送っている」と感じているそうです。

「生きがい」を感じている人ほど、心配ごととストレスが多い傾向にあります。

大勢の注目を浴びる試合、影響力の大きな仕事、子育てなど、人生を充実させてくれるものにストレスはつきものだからです。

多くの人の素朴な考えとは裏腹に、ストレスの少ない生活を送っている人たちは、あまり幸せを感じていないことが明らかになっています。

だれもが「こんなに忙しくなかったら、もっと幸せになれるのに」と思っているのですが、データを取ってみると正反対の結果が出るのです。ストレスを多く感じている人ほど幸せで、ストレスの欠如は危険です。「退屈」は死亡リスクを大きく上げる原因であることがわかっています。

「ストレス」と「人生の意義」には切っても切れないつながりがあるようです。

ストレスを乗り越えなければならない理由

ストレスは往々にして「不快」なものです。ストレスの多かった日を思い出すと「あの日は最悪だった」という感想になるかもしれません。

今まさにストレスを感じている人は、はやくこんな日が終わればいいのにと思うでしょう。

だからといって「ストレス=良くないもの」とするのは短絡的です。今まで生きてきた中でストレスの多かった日をすべて取り除けば、それが理想の人生になるというわけではないはずです。

人はストレスがまったくない生活を夢想してしまいがちですが、そこで実際にストレスのない生活を追い求めた人は、幸福感、充実感、人生の満足度が顕著に下がるというのが、心理学が得た一つの知見です。

わたしたちがストレスの悪影響だと思っていることの多くは、ストレスを避けようとすることによって起こります。1000名以上もの成人を10年にわたって追跡調査したカリフォルニア州パロアルトの実験で、ストレスへの対処についての質問で「ストレスはできるだけ避ける」と答えた人は、その後うつ病になった比率が多く、職場や家庭での争いごとも多く、失業や離婚などのつらい経験をする傾向にありました。

心理学ではこれを「ストレス生成の悪循環」と呼んでいます。「ストレスを避ける」という行動を取り続けると、何かにチャレンジする精神が失われ、身体が悪い状況をストレスと認識しないまま、慢性的にどんどん生活が悪くなっていくのです。

ようは「ひたすら苦しいことを避けていると、かえってそれに対する抵抗力が弱まり、不幸になりやすい」ということなのですが、それが調査によってもはっきりと裏づけられています。

ストレスが危険なのではなく、「ストレスを悪いものだと思ってひたすら避けようとすること」が危険なのです。ストレス自体はむしろ、わたしたちに困難な状況を突破する力を与えてくれます。ストレスを感じたら、そこから逃げるべきではなく、その状況を乗り越えようとするべきなのです。

まとめ

  • ストレスが悪いのではなく、「ストレスが自分に悪影響を与える」と考えることが健康に悪い
  • ストレスが無い人生は満足度が低く、ストレスを多く受けながらもそれを肯定的にとらえている人たちは幸福度が高い
  • ストレスは現状を乗り越える力をわたしたちに与えてくれる

(参考:ケリー・マクゴニガル(著)、神崎朗子(訳)『スタンフォードのストレスを力に変える教室』第3章)

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