不安やプレッシャーを味方にして実力を発揮する方法

大きな課題に直面したときには、誰しもが不安やプレッシャーを感じてしまいます。

そのようなとき、多くの人が

「不安はなるべく感じないようにしたほうがいい」
「プレッシャーを打ち消したほうがいい」

という誤解をしています。

実は、不安やプレッシャーによるストレスを感じたままの状態のほうが、良い結果を出しやすいことが研究によってわかっています。

緊張しているときは、「落ち着こう」とするよりも、「ワクワクする!」と思ったほうがいいのです。

ほとんどの人が「心を落ち着かせることが大事」だと思っている

ハーバードビジネススクール教授のアリソン・ウッド・ブルックスの調査によると、緊張や不安でいっぱいの状態でプレゼンをしなければならないとき、91%もの人が「いちばんよいのは心を落ち着かせること」と答えたそうです。

しかし、ほとんどの人が考えているのとは逆に、緊張や不安を打ち消そうとしても、あまり良い効果はありません。

プレッシャーを感じるのは、自分にとって重要な問題を前に、身体が力を発揮しなければと身構えている状態であり、プレッシャー感じない状態と比べて力を発揮しやすくなっているのです。このようなときは、自分に言い聞かせる言葉として

「わたしは落ち着いている」よりも
「わたしはワクワクしている」のほうがうまくいきます。

緊張や不安を感じているということが自分を後押ししてくれる、と考えるのがいいようです。

いざという時はリラックスよりストレスが役に立つ

心理学者のジェレミー・ジェイミソンは、重要な出来事の前に感じるプレッシャー、緊張、不安、ストレスと、実際に発揮できるパフォーマンスの関係を調べました。

中学校、高校、大学で実験を行ったところ、テスト中にアドレナリンの量が急増した学生のほうが、落ち着いてテストを受けた学生よりも成績がよかったことがわかりました。もともとの学力差とは別に、よりストレスを感じていたほうが成果を出しました。

アメリカ陸軍特殊部隊、レンジャー部隊、アメリカ海兵隊の調査では、尋問中にストレスホルモンのコルチゾール分泌量が多かった兵士たちは、敵に有用な情報を洩らす確率が低いことがわかりました。

連邦警察官によると、人質交渉の訓練中に心拍数の増加がもっとも大きかった警察官たちは、人質を誤射する確率が低いそうです。

プレッシャーのなかで実力を発揮するには、リラックスをしているよりも、ストレスを感じていたほうが良いのです。緊張したり、ドキドキしたり、不安になったりするのは、解決しなければならない問題に対応するために起こる生理的な作用であり、それを抑え込もうとするのは本末転倒です。

「平常心」よりも、「平常心ではないからこそ、重要な場面で力を発揮できる」と考えるべきなのです。

「チャレンジ反応」と「脅威反応」のどちらかが出るか?

一方で、恐怖症、パニック障害、社交不安、PTSDなど、不安やプレッシャーによって機能不全になってしまう状況はあります。これらの不安障害は映画やドラマなどフィクションでよく題材にされるので、プレッシャーとその場面を結びつけてしまう人も多いと思います。

不安とプレッシャーは実力を発揮するのに役立つ作用ですが、それが極度の恐怖感にまでなると、パフォーマンスの妨げになります。

プレッシャーを感じたとき、ストレスを味方にできる「チャレンジ反応」と、ストレスの悪い部分を受けてしまう「脅威反応」のどちらかに別れるそうです。

「チャレンジ反応」が起こると、身体はリラックスし、血液量が増え、心臓の鼓動が力強くなり、やる気や集中力がアップします。

「脅威反応」が起こると、血管が収縮し、免疫細胞が活性化して、身体は防御の姿勢をとります。

「チャレンジ反応」のときはパフォーマンスが向上しますが、「脅威反応」はそうではありません。「脅威反応」が続くと、ストレスによる長期的な健康被害にも繋がります。

それでは、課題に直面したとき「チャレンジ反応」と「脅威反応」のどちらが出るか、どこで別れるのでしょうか?

人は課題に直面すると、それをやり遂げる難しさと自分の力量を無意識のうちに秤にかけます。「自分の力で対処できる」と思えば「チャレンジ反応」になり、「自分の力を超えた問題だ」と思えば「脅威反応」になります。

ストレスは現状を打破できるように後押ししてくれる生理反応ですが、自分の力で対処できないと思えば「脅威反応」が起こり、それが長く続けば健康を損ないパフォーマンスも低下します。自分の力で解決できる問題のストレスは有用ですが、どうにもならない問題に耐え続けなければならないような環境からはすぐに逃げ出すべきでしょう。

プレッシャーを力に変える方法

大きなプレッシャーに直面したときに、「脅威反応」ではなく「チャレンジ反応」を起こすにはどうすればいいのでしょうか?

ひとつは、努力や経験です。

しっかり努力して準備してきたという確信や、困難を乗り越えてきたという自信があれば、難しい問題に直面しても「チャレンジ反応」が起こります。

もうひとつは、「ストレスについての考え方」です。

不安や緊張を感じている状態はいい気分とは言えませんが、「この状態が自分の力を後押ししてくれる」というマインドでいれば、ストレスを「チャレンジ反応」に導きやすくなります。

これは単なる思い込みではありません。実際に、ストレスを感じてしまう身体の作用は、あなたに能力を発揮させるためにあるのです。

まとめ

  • 緊張や不安を感じたとき、多くの人は「落ち着くことが大事」と考えているが実際は逆
  • プレッシャーが自分に力を与えてくれる、ワクワクする、と考えたほうがパフォーマンスは上がる

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