ストレスを味方にする考え方(ストレスは健康に悪いわけではない)

ストレスは避けられないものであると同時に、人間にとって必要なものでもあります。

「ストレスは有害であり無いほうがいい」という認識が浸透してしますが、研究によって明らかになったストレスの実態はそれとは異なります。

ストレスは必ずしも害になるものではなく、あなたを助けてくれる場合もあるのです。

ストレス自体はあなたの味方をしてくれる

ストレスと健康の関係を調べたある調査によると、「ストレスそれ自体」が健康に悪影響をもたらすわけではないことがわかりました。

ストレスを受けても「ストレスは健康に悪い」と考えていない人は、むしろストレスを受けていない人よりも健康な傾向があります。

一方で、ストレスを受けながら「ストレスは健康に悪い」と考えている人は、実際に健康を損なっています。つまり、「ストレスは害になるという考え方」によって、本当にストレスが健康に悪いものになっているのです。

これはいったいどういうことなのでしょうか?

そもそも「ストレス」とは、人間がピンチになったときのための生理反応です。人は本来、ストレスのある状態のほうが良いパフォーマンスを発揮しやすいです。緊張したり落ち着かなくなったりと、ストレスが「あまり良い気分ではない」のも、力を発揮してその状況をうまく切り抜けるためです。

自分の力でなんとかできる範囲を超えた過剰なストレスは害になりますが、ある程度のストレスがあったほうが成果を出しやすくなります。そのため、ストレスそれ自体を否定してはいけないのです。

健康に悪いのは、まったくストレスの無い状態と、自分の力ではどうにもできないストレスを受け続けることです。正常なストレス反応はむしろあなたの味方なのです。

実際に、ストレスの多さと幸福感の高さは正の相関があります。ストレスをたくさん受けた人ほど幸福なのです。重要な仕事や子育てなど、人生を充実させてくれる仕事の多くにストレスはつきものだからです。

ストレスが有害になってしまう場合

ストレスはあなたの身体に備わった機能であり、あなたの味方なのですが、「ストレスは身体に悪い」という考え方自体が、実際にストレスを有害なものにしてしまうことがあります。

例えば、明日に今後を左右するような重要なプレゼンテーションがあると思っていると、常にうっすら不安を感じ、緊張しているので、朝二度寝などをして寝過ごすことはないはずです。これがいわゆる「ストレス」を受けている状態です。

一方で、ずっと休みで予定がなかったりなど、まったくストレスのない状態だと、二度寝、三度寝して、午後まで寝ていたりしてしまいます。

短期的には後者のほうが満足度が高いのですが、前者のようなストレスを多く経験した人生のほうが、長期的には幸福度が高く感じられるようです。

「ストレスは身体に悪い」という考え方をしていると、程度の差はあれ、ストレスがかかる重要な機会を避けるようになっていき、何かにチャレンジする力を失います。

さらに注意したいのが、ストレスを避けていると「悪循環」に陥ってしまうことです。ストレスに対してネガティブな気持ちを持って、小さなストレスを避ければ避けるほど、より些細なことにストレスを感じるようになり、慢性的なストレスに晒されてしまうことになります。「ストレスは健康に悪い」と思ってたいしたことのないストレスから逃げ続けると、むしろそれをやることによって本当にストレスが健康を害するものになるのです。

以上が、「ストレスが健康に悪いと考えていること自体が健康に悪い」理由です。

ストレスに向き合う態度の重要性

『スタンフォードのストレスを力に変える教室』の著者であり、ストレスに関する講義で注目を集めた健康心理学者のケリー・マクゴニガルはこう述べます。

多くの人は「ストレスを避けなければ」と思っていますが、そんなことは不可能なだけでなく、かえって自己破壊的な行動を招いてしまいます。

ストレスは悪いものか、それともよいものか、どちらかに決めつけるよりも、わたしがいまいちばん興味を持っているのは、「ストレスに向き合う態度がどれくらい重要なのか」ということです。

(ケリー・マクゴニガル『スタンフォードのストレスを力に変える教室』第7章』)

マクゴニガルは、著書で「ストレスに向き合う態度」の重要性を説き続けます。「ストレスは身体に悪いから避けるべき」と考えているよりも、「ストレスは自分に力を与えて問題を解決しやすくしてくれる」と考えたほうが、問題に突き当たったときに良い結果を出しやすくなるからです。

これは、単なる「考え方」に過ぎないのですが、その「考え方」がやがては大きな結果となって表れます。

このことを「マインドセット効果」と言います。

マインドセット効果―「考え方」によって人生が変わる

マインドセットは、難しい概念ではありません。「考え方」によって行動や選択や結果が変わるというごく当たり前の話です。

しかし、ちょっとした「考え方」の違いであれど、日々のささやかな選択や行動に影響を与え、積もり積もれば大きな差になります。

あるものごとについての考え方の差が、長期的な健康や幸福といった大きな結果となって表れるのです。

「ストレスをどう考えているか」といった考え方の違いが、大きく人生を左右するということです。

先ほどまで述べてきた理由から、「ストレスは有害だからなるべく避けよう」と思っているよりも、「ストレスは問題を乗り越えるために自分に力を貸してくれる」と考えていたほうが、良い結果を出しやすくなります。最初は小さな違いであれ、長期的にはとても大きな差になります。

ケリー・マクゴニガルの重要な問いかけは

わたしは、自分にはストレスをプラスの力に変える能力があると信じているだろうか?

というものです。

事実としてどうかではなく、信じているかどうか、なのです。マインドセットは、ものごとに白黒つけるものではなく、わたしたちが人生に対してどのように向き合うかという態度の問題です。

新しい考え方というものは、頭のなかよりも心のなかにひっそりと根を下ろすことが多く、このような記事を読んだことで、ストレスの捉え方が少しは変わってくるかもしれません。

「ストレスは自分の味方をしてくれることもある」と考えていると、乗り越えるべき課題に直面したときに役立ちます。

まとめ

  • 「ストレスは健康に悪い」という認識が広まっているが、それは事実とは限らず、あまり好ましい考え方でもない
  • ストレスは問題を解決する力を自分に与えてくれる生理的な機能であり有用なもの。過剰なストレスや、ストレスがまったく無い状態がむしろダメ
  • 「ストレスは自分の味方をしてくれる」ことを知っていると、マインドセット効果でストレスの恩恵を受けやすくなる

(参考:ケリー・マクゴニガル(著)、神崎朗子(訳)『スタンフォードのストレスを力に変える教室』)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする