「レミニセンス現象」睡眠の重要性と記憶の定着

新しく知識を得たり、技能を習得したりするうえで、必要不可欠なのが「眠ること」です。

睡眠時間を削ってがんばっても、逆に効率を犠牲にしてしまうことになりかねません。

実は誰もが膨大な量の夢を見ている

あまり夢を見ないという人もいますが、それは単に覚えていないだけで、人は一晩の間に膨大な量の夢を見ます。起きた後に思い出すことのできる夢は全体のほんの一部にすぎず、全体の1%以下であろうと推測している科学者もいます。

夢というと、現実では起こり得ないような突飛なものといったイメージが強いですが、ほとんどの夢は日常的なものです。わたしたちは、あまりにも普通の夢は覚えていないので、変な夢ばかり思い出すのです。

脳科学の知見では、「夢」は脳の情報を整えて記憶を強化するために必須の過程とされています。最近に経験したことを夢の中で再生し、記憶を反芻し整理しているのです。

よって、寝ている途中に、自分にとって重要な記憶が定着します。

そのため、せっかく何かを覚えても、ちゃんと眠らなければそれが長期的な記憶にはならないのです。

ちなみに、勉強などの知識にとどまらず、スポーツにおける技術なども「記憶」です。(手続き記憶と呼ばれます)

身体的な技能を身につけるにしても、記憶を整理する「睡眠」は上達に不可欠なステップです。

アメリカの精神医学者スティックゴールドは、「何か新しい知識や技能を身につけるためには、覚えたその日に六時間以上眠ることが欠かせない」と主張しています。

何かを習得しようと努力している期間中は、最低でも六時間以上の睡眠をとりたいものです。

寝ている間に上達する「レミニセンス現象」

先ほどまでで説明したとおり、何かを習得するうえで「睡眠」は重要な役割を果たします。

練習をしていて、そのときはあまりうまくいかなくても、翌日に突然うまくできるようになっていた経験はありませんか?

この場合、練習したことが睡眠によって整理され、寝ている途中に上達したのです。この現象には「レミニセンス(追憶)現象」という名前がついています。

直前に詰め込んだ記憶よりも、長いスパンで覚えた(何回も睡眠をはさんだ)記憶のほうが、深く身についていて応用もしやすいのです。

一日六時間まとめて勉強するよりも、二時間ずつ三日にわけて勉強したほうが、勉強時間が同じでもより身につきやすいのです。

週刊連載で一話ずつ読んだ漫画は、単行本で一気読みした漫画よりも内容をよく覚えています。

「睡眠」が記憶を定着させてくれる以上、何かに習熟するためには「復習」と「継続」が不可欠です。

エビングハウスの忘却曲線と脳科学

「エビングハウスの忘却曲線」はあまりに有名なので、知っている人が多いと思います。

ドイツの心理学者エビングハウスは、意味のないアルファベットの羅列を被験者に覚えさせ、それがどのように忘れられ、あるいは記憶として定着していくのかを調べました。

この実験によってさまざまなことがわかったのですが、その一つに「一度覚えた記憶は忘れてしまってもすぐには消えず、一ヶ月ほどは残っている」というものがあります。

一回覚えた記憶は、時間が経てば当然ながら忘れてしまいます。しかし、何日か後に同じものを覚えれば、一回目のときよりも早く楽に覚えることができるのです。つまり、一回覚えた記憶は思い出せなくなっただけで、頭の中には残っているのです。

そして、二回目よりも三回目のほうが早く覚えられるようになり、三回目より四回目のほうが早く覚えられるようになり、記憶がどんどん定着していきます。

エビングハウスは調査によって、思い出せないけれど覚えている記憶の保存期限が「一ヶ月程度」であることを明らかにしました。

一回目から一ヶ月以上時間が経ってしまうと、二回目のテストも一回目と同じようなものになります。記憶が消えてしまっているからです。

エビングハウスの実験が行われたのは100年以上も前ですが、現代の脳科学で同じ結果が裏づけられています。

脳の中にある記憶の一時的な保管庫である「海馬」は、記憶すべきものの情報を取捨選択して、どれを長期的なものにするのか決めているのですが、この「海馬」に記憶が保管されている期間が長くても一ヶ月だそうです。

一ヶ月以内に復習することに意味があります。逆に、この期限を過ぎると、復習の効果がちゃんと得られず、せっかく学んだことを無駄にしてしまいかねません。

忘却曲線を考慮にいれた効率的なスケージュールは

  • まず最初の学習から一週間後に一回目の復習
  • 一回目から二週間後に二回目の復習
  • 二回目から一ヶ月後に三回目の復習

というものです。少しずつ間隔を広くしていくと効率がよいのだそうです。できれば毎日復習するのが望ましいのですが、効率を求めるのであれば、ある程度間をあけて復習するのがベストです。

学校の定期テストなどで学習したことも、上記のようなタイミングを意識して何度も復習しなければ忘れてしまいます。

何度も復習することで、海馬はその情報を必要なものだと判断してくれます。繰り返すことで、一生忘れないような強い記憶を作ることも可能です。

一番効率が悪いのは「一気にやって後は何もしない」ことです。たくさんの「睡眠」をはさみながら繰り返し学習することで、記憶はより確実なものになっていくのです。

まとめ

  • 眠っている途中に脳が記憶を整理している
  • 同じ量の学習でも、途中に睡眠をはさんだほうが定着しやすい
  • 期間をあけて定期的に復習することで記憶が長期的なものになる

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